ライター小川志津子の、ウンナン滞在記〜12月30日〜


この文章が皆さんに読まれる頃、すでにすべては終わっているのだと思います。
12月29日、さくちゃんこと松島彩ちゃんが、ハタチ族を離れました。

その日、私は初めて稽古を見学できることになり、
電源が取れる壁際に陣取って、パソコンを開き、
みんなが集まるのを待っていました。

彼女が現れて、サイトーくんが話しかけ、あることについて議論が始まり、
そのままふたりの会話は温度を上げてゆき、平行線をたどり、その間、
私は稽古場の隅っこで、パソコンから目線を上げられずにいました。

それぞれが大切にしたい「義」を、両方とも同時に立てることはできない。
ふたりの口から聞こえてきたのは、そんな悲しい音色でした。

凍りつく稽古場に、何も知らない元晴くんがガラガラっ!と入ってきました。
「おっはようございまーす!」

でも次の瞬間、彼は空気を察して、静かに腰を下ろします。

私は、この人たちと、袂を分かつほかない。
彼女は、そう決めたようでした。

彼女が去ったあとの稽古場の空気は、重くて固くて四角くて

とにかくみんなが、とても悲しい気持ちでいることだけは、よくわかるのです。

思えばちょうど1年前。

「私は、『365日公演をやりきった』という称号が、是が非でも欲しいんです」

去年の今ごろ、ハタチ族全員で決起集会の座談会をした時、
さくちゃんが凛と口にしたことです。

だからこそ、彼女も帰りの車中で途方もなく悲しかっただろうし、
ひょっとしたらこれから先も、何かにつけて、
今起きたことに心を締め付けられるのだろうと思うと胸が痛みます。

休憩時間を挟んで、メンバーが円陣を組んで座ります。
自分たちにできることは、芝居を面白くすることだけだと、
改めて確認しあって稽古が始まります。

作られ始めたお芝居は、稽古場での珍風景とか不思議な風習とか、
とにかく「エンゲキ」ってやつの滑稽さをちょっと笑いつつも、
結局、胸が熱くなるような、
エンゲキ人であってもなくても「セーシュン」を思い返してしまうような、
そんな物語(の予定)。

翌30日。最後のワンマンショーの終わり際、サイトーくんは、
昨日起きたことをお客さんに説明しました。

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表情を殺すでもなく、かといって感情丸出しでもなく、
そこにはただ、「面白い芝居にします!」という宣言だけがありました。

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今はそのワンマンショーが終わったところ。
お客さんが、なかなか、場を離れようとしません。
きっとそれぞれに、何らかの思いがあるのでしょう。

この日の朝、台本は完成したそうです。
その稽古がこの後、劇団員総力戦で繰り広げられます。

明日の今ごろ。
劇団員も観客もみんな、どんな顔をして劇場を出るのか。
劇場を出たとき、どんな気持ちに包まれているのか。

想像がつきません。
だからここから、ただ、見つめようと思います。

 

 

12月30日『西藤将人の、ファイナルマンデーワンマンSHOW!!』にお越しいただいた43名さま、ありがとうございました!!

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あと、1日!!

 

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