「あいにきた」 ハタチ族、今の本音


4月最終週、私は木次にやってきた。「365日演劇」がどんなことになっているのか、実際に観て、話を聞くためだ。折しも東京から、彼らが(勝手に)師と仰ぐ清水宏さんがライブをやりに訪れており、じゃあ転居したばかりの西藤家で缶ビール片手に座談会でもしようよと、まあ、そんなノリだった。そう、ただ、そんなノリだったのである。

集まってきた彼らは、一様に、何らかの空気をまとっていた。あれっ、と思った。だって去年末に私がここに来た時は何というか、新しい遊び場を得た子どもみたいに、みんなどきどきを隠せずにいたから。つっついてみたら風船みたいに、パァンと喜びがはじけてきたから。今は何だか、どういうテンションでここに座ったらいいのかな、みたいな風情でみんなテーブルの周りにぼうっと立っている。え、座ったらいいのに。ああ、はい、まあ。……何だろうこれは。ハタチ族に、何が起きているのか。

zadanのコピー

ゲスト:清水宏さん インタビュアー:小川志津子さん
参加団員:西藤将人、井上元晴、松島彩、駒原友美、松浦智有、大原志保子

 

とりあえず、隣に座った井上に話しかけてみる。すると何やら、ここひと月ほど、口内炎が治らないのだという。口の奥というか、喉の入り口あたりにそれがあるので、ごはんを飲み込むのが大変なのだという。

 

松浦「それ、口内炎じゃないですよ」

 

ぺろっと怖いことを言う松浦。彼にも、前回から今日までの変化を聞いてみる。

 

松浦「いつもみんなで言ってるのは、このままじゃダメだなっていうこと。毎回10人ぐらいのお客さんに来ていただいて、それはすごくありがたいことですけど『ロビーじゃもう入りきれなくて事故起きちゃうよ、ホール貸して!』ぐらいの勢いにならないと、やってる意味がない。ただ『365日やりましたー』っていうだけではダメなんだな、というのがみんなの中に、たぶん、あると思います」

 

いやあ、しかしよくやってるよなあ。本番を終えたばかりの清水さんが空腹のあまり、バターをつけただけの食パンにかじりつきながら言う。

 

清水「ほんとにすごいことだよ。4ヶ月もやってきたなんて」

 

駒原が、もらいもののロールケーキを2本持ってくる。変な角度で包丁を隠し持ってるその様がおかしくてみんな笑う。

 

清水「駒ちゃんが殺人事件の犯人だったらみんなびっくりするだろうな!」

 

駒ちゃんさあ、俺、見ちゃったんだよ、自首してよ。そう言うと駒ちゃんが、見たことない顔してこっち振り向くの。いいなあ、俺だったら、駒ちゃんを犯人にするなあ! 清水さんはそうやってみんなの空気をほどく。

 

清水「延べで言うと、お客さんはどれくらい来てくれてるの?」

西藤「1200人とか、ですかね」

井上「平均すると、1日に10人ぐらいです」

清水「何か、やる前に比べて、変わってきたことは?」

井上「僕、せりふ覚えるの早くなりました」

清水「最短で、どれくらいで覚えなきゃいけなくなるの?」

西藤「1日とかですかね。当日朝から稽古して」

清水「ほんと、大変だと思うんだよ。一つの舟で船出してるんだけど、それぞれのペースでやっていいよ、という状況を作るのもまず大変だし。『俺はこんなにキツい思いしてるのに、あの人何なの!?」って思っちゃうことも、ないわけがないしね」

 

そしておそらくほとんどの大人――つまり何らかの居場所を失ったことがある大人――の胸にズキュンとくるせりふを、清水さんは開始から20分にして言うのだ。

 

清水「僕は、集団を出ちゃった人間なんです。山の手事情社という劇団にいたんだけど、そこを辞めて、25年後にまた公演に出演したんだけどね。僕は山の手事情社を“ふるさと”だと思っていたけど、でもその時点で山の手事情社は、僕がいた頃とはまるっきり違う芝居をしていた。つまり、僕が思ってた“ふるさと”は、もうないんだよね。だから僕は、ハタチ族が本当にうらやましくなることがあるんです。みんながめかしこんで撮ってる写真があるじゃん。ホームページに載ってるやつ。あれ、うらやましいもんね! まぶしいなあって思うよ。みんなでやるってことは」

 

主に、一人で舞台を紡ぐ人だ。お客さん全員を自力で引き寄せて抱きしめて持ち上げて胴投げして宙に浮かべてキャッチして客席へ返す、そんな舞台を重ねている人だ。

 

清水「誰かと何かを共有する、っていうことが、本当の力をくれたりするんだよね。誰かに言われたわけじゃなく、自分たちの意志で集まった人たち。その時点で、すごいことなんです。僕は今年のはじめ頃にちょっと元気がなかったんだけど、そういう時はハタチ族のホームページを見てました。ああ、また新しい芝居をやってるんだ、とか。いいな!っていつも思ってます。……話は以上でえす」

 

みんな、笑う。そして言葉を噛みしめる。

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清水「どんなふうなんだろう、って思うんだよね。ここまで同じ舟で波を超えてきた乗組員は、どんなことを思っているんだろう。それを知りたい。僕にそういう経験がないからさ」

 

促されて、駒原が話し始める。ロールケーキは律儀に人数分に切り分けられている。

 

駒原「正直言うと最初は、いつか終わるだろうな、って思ってて。お客さんはいつかゼロになっちゃうだろうな、そんなにずっと応援してくれる人なんていないよな、って。でも意外と、ファンの方が付かず離れず見守ってくださっていて。『終わるだろうな』と思ってた頃は頑張れなかったことでも、応援されてるって思うことで頑張れたりするんですよね」

 

どうして、みんな見守ってくれるんだろうね。そんな問いをみんなに投げかけて、清水さんはその日あった出来事を話す。開演直前、彼は、女性客から問われたというのだ。「清水宏さんのライブはここですか?」ではなく、「365日演劇をやっているのはここですか?」と。

 

清水「そういう人たちは、何が観たくて、集まってくれてるんだろう」

駒原「わからないな、一生懸命だから、ですかね。でも、劇団の中でもやっぱり温度差はあるし。もちろん、いろんな人がいるから、あって当然なんですけど」

 

この時私は、デリカシー、というものを無視することに決めたのだ。駒ちゃんは、どんなときにみんなの「温度差」を感じるの?

 

駒原「何だろう……それを言うと愚痴になっちゃいますけど(笑)。みんながいろんなことをやらなきゃいけなくて、それに取り組む人と取り組めない人がいるっていう現状とか、みんなで走ってるのかそうじゃないのかわからない時がたまにあって。もちろん、人はずっと走り続けられないから、バトンを渡すタイミングはみんなが見極めなくちゃいけないなって思うので」

 

年に1回しか公演しない劇団も、365回も公演する劇団も、そういう事態になるのである。

 

清水「僕は、駒ちゃんがすごく変わったなと思う。僕のワークショップに来てくれた時と、全然違う顔をしてるよ。『やりたいこと』と『やれないこと』が、やったからこそわかってるというか。元晴が、せりふ覚えが早くなったっていうのもすごいことだよ。『2時間後に本番です』ってなったら、せりふを入れるしかないし、入れたら入るんだっていうさ」

 

事前の予測とか調査とか準備とか、もちろんするにこしたことはないけど、「やってみてわかること」の割合というのも良かれ悪かれ大きいものだ。年末の座談会と圧倒的に違うのはそこである。自分たちはやってみた、だからわかったことがある。

 

松島「私は、いろんな気持ちになるんです。『楽しい』と『苦しい』と『もっとやりたい』と『もうやりたくない』と。数分前までと同じ人間とは思えないくらい、気持ちがぐるぐる変わって。そうしたら、さっきまで楽しく笑ってた相手に対して、すっごいイラッとしたりするんですね。私は今まで、自分以外の人がすることに対してはわりと『関係ないや』って切り離して考えてたんですけど、最近は何かと『こっちは一生懸命やってるのに!』って腹が立ったりして『なんでそんなに殺気立ってるんだ?』って言われちゃうくらいなんですけど」

 

だから今までで一番、いろんなことが見えないのだと松島は言う。自分の激変とそれに伴う苛立ちで、ぱつんぱつんになっている心を少しずつほどき始める。

 

松島「なんでそこまでこだわるんだ、って自分でも思うんですけど、どうしても引き下がれなかったりとか。一歩引くことで何がどうなるんだろうってシミュレーションしたりするんですよ。その場は平和に収まっても、自分の気持ちはどこへ持って行ったらいいのかわからない。だから、そのまま言っちゃう!みたいな。抽象的で申し訳ないんですけど」

清水「いや。めっちゃくちゃ具体的だよ」

松島「今まで『あーやだ!』って思う時っていうのはだいたい感情的で、時間が経てばどうでもよくなったりしてたんです。自分がなぜ怒ってたのか忘れちゃったり。でも今はまったく淡々と物事を見ているので、どんな感情にもならなくて。むしろ前より、情熱の向けどころが、わからなくなってるかもしれない」

 

ハタチ族の季節が、はっきりと変わっている。私がここへ来なかった間に。

 

清水「元晴はどう? 大変だな、って思うことはある?」

井上「大変だな、と考えないようにしてます。特に、大変なことはない。と、思うようにしている。今の僕は、仕事の都合で、この中で一番、ハタチ族に参加できてないんですよ。だから今、駒ちゃんやサク(松島)が葛藤しているのを聞くと、苦しいなという思いがあります。今は、万全ではない。その時期が、僕の仕事とぶつかって、申し訳ないなと思っていて……ごめんなさいっ」

 

いえいえ、とみんなが笑う。「怒った? ねえ、怒った??」「怒ってねーよ」とじゃれあう井上と西藤。

 

清水「ハタチ族に対する気持ちは、変わったりする?」

井上「いえ、変わらないですね(即答)。僕ががっつり関われていない、というところがネックなだけで」

清水「ハタチ族を、前より好きになったりは?」

井上「……」

一同「………」

西藤「なんでみんな俺を見るんだ」

清水「見ますよ。いろんなとこ見るし、いろんなこと言うんだよ、それは。怖いと思うけどね。そういう時に、見られるのって」

 

そしてここから、清水宏の千本ノックが始まる。他の誰でもない、君は、あなたは、何をどう感じているのか。ほぼ録音のままを文字にしてみよう。

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井上「僕は、劇団のことを、相も変わらず好きですね。僕の立ち位置は何も変わらない。すごいなと思う人はいつもすごいし」

清水「元晴はね、ちょっと踏ん張ってしゃべってるんじゃないかなっていう気がするのね。ただ無邪気に『セリフ覚えが早くなったあ!』っていうことではないじゃない。『大変だとは思わないようにしている』っていう言葉が、そのへんを物語ってると思うんだけど。元晴の、本当の気持ちは、どうなの?」

井上「えーと……先が見えない、っていう不安は、あります」

清水「今回のこと? 自分のこと?」

井上「……どちらかというと、自分のことについてはまあ、起きることが予想できるので。でも劇団は、このままじゃ終われない感がすごくあって。西藤さんの野心とか、このままじゃ終わらないだろうって僕は。納得もしてないですし」

清水「元晴が? 西藤が?」

井上「そうですねえ……みんな、それなりに、してないと思うんですよ」

清水「元晴はどうなの?」

井上「僕は……自分に納得がいかないので。だから『金メダル取ったら終わろう!』みたいな感じですかね。イメージとして。やりきった感があったら、終われると思うんですけど」

清水「終わるっていうのは? 演劇を?」

井上「演劇というか、僕は演劇をやっているので演劇について言いますけど、演劇で誰も成し得ないことをやったり、あと自分が納得できたら……うん、それが一番大きいですね。自分が自分に納得できたら、自分は終われる……のかな……違うか……何が言いたかったのかな。何が言いたかったんだっけ」

 

そりゃあ混乱する。だって井上は今すごい風景をチラ見したのだ。彼は「終わる」という単語を使った。演劇が、劇団が、あるいは、自分が。その主語は、決して、容易く見定めてはいけない。「わかった、それはそこに置いて、今は次へ行くね」と声をかけて、清水さんは松浦に向き直る。

 

清水「まっつんはどうなの?」

松浦「秋になると自分の仕事が忙しくなるので、そういう時のスタッフチームをちゃんと構築しなくちゃと思ってるところです。ただ、やってること自体はとても楽しいし、少しだけ成長できたかな、と思える面もあるんですね。全然まだまだですけど、でも面白い」

 

明快。具体的。けれどこれは世代のせいだろうか、「ほんとうの話」を聞けていないような気がしてしまうのだ。特に、オーバー40組は。

 

清水「松浦くんはハタチ族のことをどう思ってるの? どんな時に楽しくて、どんな時に『やっててよかった』って思う?」

松浦「今まで来なかったようなお客さんが来てくれた時ですかね。さっき清水さんに質問をしたお客さんは、たぶんふらっと寄ってみたんだと思うんですよ。例えば会社で憂鬱なことがあって、気分を変えたくてここへやってきたとか。そういう人を目にすると、素直にうれしいなって思いますね」

清水「それは、どんな気持ちなんだろう。なぜまっつんはハタチ族にいるのかが聞きたいんだ。というのは、僕は、自分のやりたいことだけを、誰かに助けてもらってここまできてるだけだから」

 

清水さんが実感をひらく。すると松浦もそれに応える。

 

松浦「正直、演劇とかよくわからないんです。他のお芝居を観ても、ぴんとこなかったんですけど、西藤さんが前にやった芝居が面白くて『この人すごいな!』って思ったんですよ。で、ハタチ族に誘ってもらった時点で、こっちに同世代の友だちはまったくいなかったので。正直なところ『芝居を作りたい』っていうよりも『みんなといたい』っていう気持ちの方が強いかもしれないです。いいものを作りたい、という気持ちももちろんありますけど」

 

たぶん、西藤将人が、みんなの「種」なのだと思う。みんないろんな太さの枝葉をいろんな方向に伸ばしてはいるけど、その根っこは西藤将人から伸びているように思う。

 

 

清水「西藤くんは、どうなんですか。今、どんな気持ちでいる? 思い描いた通りになってる?」

西藤「それは全然、なってないです。いい意味でも、悪い意味でも。まず、こんなにリピーターさんが来てくださるというのは、まったく予想してなかったですね。あとは……駒ちゃんじゃないですけど、僕も、『終わるんだったら4月ぐらいかな』って思ってたんですよ。でも今は“お客さんがゼロになる”ということへの不安は、実はもう、そんなになくて。『よくやれたなあ!』っていうより『よく来てくれるなあ!』っていう気持ちの方が大きい。『演劇入門』の時なんか、毎日来て下さる方とか、市外から来て下さる方もおられて」

清水「それに対して西藤くんは、どんな気持ちなのかな。うれしいの? それとも『それはそれなんだよなあ……』っていう感じ?」

西藤「……後者ですかね。常連さんが盛り上がってくださるのはありがたいんだけど、でも盛り上がりすぎると、新しいお客さんが来にくくなっちゃったりしないかな、って思ったりとか。これは全面的にこっちの問題なんですけど」

清水「その常連さんは、なぜ来てくれるんだろうね」

西藤「それはたぶん“劇団”だからだと思いますよ。この劇団のこれが観たい、という要素が寄り集まっているから、成り立っている。同じことを一人でやろうとしても、できないと思います」

 

そんな劇団代表は、今までのみんなの話を聞いていて、何を思っていたんだろう。

 

西藤「えっと、この場に、僕は、いなかった方がいいんじゃないかと思ってます(笑)」

清水「どうして?」

西藤「みんな僕に気を使うだろうし、僕自身もこういう状況では気を使う人間ですしね」

清水「怖がりなんじゃないですか。今、思いついたまま言ってますけど。いいんじゃない、せっかくこういう場ができたんだから。言っちゃってもみんな大丈夫だよ」

西藤「僕は、みんなにコンプレックスがあるんですよ。劇団の代表なんて、コンプレックスの固まりじゃないかな。自分にないものを持ってる人たちに集まってもらうわけだから」

清水「たとえば、どんなこと?」

西藤「みんなに共通してるのは、チャーミングさですよ。なんか、僕の周りはみんなO型が多いんですけど。僕はA型で」

清水「……何の話ですか」

西藤「血液型の話です」

清水「血液型の話ですか……」

西藤「どうでもいいですか」

清水「そんなことないですよ。でも初めて聞いたので。へえ、血液型とか気にするんだ……」

西藤「僕は、A型なんです。みんなの顔色ひとつで、機嫌が悪いかもな、って思ったりしますもん」

清水「いろいろ気になっちゃうんだね。やっぱ怖がりなんだな……やっぱり大変だよ、いろいろ。中日打ち上げとか、したほうがいいと思うな。道を折り返すにあたって、ひとつ何か、労をねぎらうことがあっていいと思う。大っ変だもん。話聞いてると」

 

そして清水さんはとても正直なトーンで言うのだ。

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清水「みんな、ほんっとに違うんだね。今日はそこがうれしかった。みんなが包み隠さず、正直に語ってくれて。きわどい答えを引き出してしまったところもあったと思うけど、今は“とりあえず”の言葉で語ってほしくなかったのと、ハタチ族のみんなへの信頼に従って、いろいろ聞かせてもらいました」

 

もちろん私も。彼らのこの季節をこうして書き残せることに感謝。

 

清水「みんなが同じ舟に乗っていて、例えばそれが沈みかけてるとして。水を外へかき出しながら『この舟のこと好き?』って聞いたとして、『好きって言わなきゃ許さない!』とは、誰も言えないよね。これから1年の半分を折り返そうとしていて、さっきサクが言ったみたいに、人の見え方とかどんどん変わっていくから、ある意味とても怖い試みなんだけど、でも、みんなが最後までどういうふうに漕ぎ着けるのかを僕はとても見たいし、いろんな人たちにみんなのことを見せたいと思っているんですよ。僕の周りの変な人たちをここへ呼び寄せたいので、ぜひここで、こうして続けていてほしいなと思うんです。きっと明日新しく起こることがあって、今感じていることがまるで変わっちゃうかもしれない。そこは誰にもわからないけど、でもそれをちょくちょく来て、見守っていたいなと思います」

 

 最後に、一つだけ。慌てず、浮つかず、状況判断能力にかけてはいつも頭抜けている大原志保子に聞いておきたかったこと。この日、「他ならぬあなたの気持ち」を尋ねるたびに、なぜみんなの口ぶりは年末と比べてあんなに重かったのだろう。言いたいことがあるんだけど言えないのか、言いたいことそのものがわからないのか。

 

大原「わからないのと、みんなが『365日』のさらに先を見始めたからだと思います。年末の時はまだ『365日をどうやってやりきるか』しか見えてなかったけど、今はそれが目標じゃなくて前提になったから。だから『365日やりきる』ってことは、今はみんな断言できると思うんですよ。でも、その先のことを考える、という次の段階が現れたばかりなので、まだみんなの中でその整理がついてないから『こうです!』とは言えない。でも、そのことを書き残しておくことは、意味があると思うんです。2ヶ月後にはまたみんな変わってるかもしれないし、変わってないかもしれないし。っていうことで、全然いいんだと思います」

 

そう、彼らは変わりゆく。観客たちが、どの時点でのハタチ族を愛していようと。思えば、劇団を見守るってそういうことだ。多少の変化も込みで付き合うっていうことだ。劇団も、自分も、これから先どうなるかなんて誰にもわからない。それでも、今ここで出会えた奇跡。それを作り手と受け手で分かち合えることが、演劇の喜びの一つなのかもしれない。 (2015/05/05 )

 

小川志津子
東京在住のフリーライター。完全自腹型インタビュー連載サイト「あいにいく」で2012年に雲南市へ初上陸。基本、陸路で通っています。http://www.ai-ni-iku.com

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